40代~高齢者の矯正
意外なことに40才代は、歯周病と歯間の虫歯が発生しやすい要注意世代です。
忙しさに気を取られ、歯と口の健康はつい忘れがちになります。
気づいたときには、歯周病や虫歯が進行して口の中がガタガタになり、かみ合わせのバランスが崩れる人が多く見うけられます。
こうなると、失った歯を補う治療だけではなく、口の中全体のバランス回復が必要になります。
矯正治療は、歯を正常な状態にして、しっかりとしたかみ合わせをつくります。その上で、適切な修復物を入れ、口の中の健康を完成させます。
成人矯正は、口全体の健康を守るために「総合的な歯科治療の一部」として行われるものなのです。
40才代、50才代から高齢者(70才代)にほど必要な矯正治療①
8020(はちまるにいまる)運動というものがあります。8020運動とは、高齢社会において、80歳という長寿に達しても20本以上の自分の歯を残して健康で元気な生活を送りましょう、という運動です。
現在80歳での平均残存歯数は約9本で、20本以上の残存歯を持つ人は約24%(厚生労働省調査)で、まだ不十分と言えます。
40才代、50才代から高齢者(70才代)にほど必要な矯正治療②
1本の歯を失うと、その歯と噛みあっている歯、または隣り合っている歯が支えを失い、抜けたスペースに歯が倒れこんできたりして非常に不安定になります。この状態を放置すると、歯列が崩壊し、最終的には総入れ歯になります。そういった状況のときに、咬み合わせを回復できるのが矯正治療です。
高齢者が矯正治療をするメリット
自分の歯で噛むことで、認知症を予防し、健康的な生活を送ることができます。若々しい口元を取り戻すことで、アンチエイジング効果が期待できます。
矯正治療といえば、一昔前は子どもがするものという認識が一般的でしたが、今や成人、しかも年齢が高い人ほど必要だということは矯正歯科医として切実に感じます。
ここ数年はこうした40代、50代、60代といった中高年の方が増えています。
特に女性の方は、歯がだめになることで気落ちされ、一気に老け込んでしまうように感じます。
歯周病だから、歯を失っているからと断念することなく、高齢者の方も諦めずに、是非お気軽にご相談ください。
噛むことで認知症の進行をくい止める
噛むということは、食べること以外にも身体に対して様々な働きをしています。朝起きてねぼけたような状態でも、食事をしているとだんだん意識がはっきりしてくるという経験は誰しもあると思います。
噛むときにあごの筋肉を動かすことで、神経を通して脳に刺激を送るからです。また、噛むときの動きがポンプのような働きとなって、脳にあった古い血液を心臓に送り返し、新しい血液を運ぶという役割もします。
ですから、よく噛むことで脳の血液量が増えて動脈硬化や脳梗塞が起きにくくなるのです。
お年寄りが入れ歯になって自分の歯で噛めなくなると、認知症が進行するということも疫学的にわかってきています。
大人の矯正のメリット 噛む環境が整い、歯を長持ちさせることができる
正しい噛み合わせになると、毎日の食生活が豊かになるのはもちろん、噛み合わせのズレによる物理的負担が少なくなるので、歯を長持ちさせることができます。また、きちんと噛むことで歯根膜に適度の刺激が加わり、歯周病などの予防にもなるといわれています。
逆に歯並びが悪いと歯垢もたまりやすく歯のケアが難しくなります。